BUMP OF CHICKEN 『ロストマン』に対する自己解釈

『前書き』
はじめまして。になるのでしょうか?
ある方とBUMP OF CHICKENさんの曲に対する解釈を話し合う中で「自分の考えが曲に対して深く追求していく助けになれるのかもしれない」と思い、思い立ったが吉日とばかりに筆を取りました。
ブログを書くこと自体初めてのことで、拙い文章をお見せすることになるやもしれませんが、最後までお付き合い戴けたらなと思います。

『本題』
先にタイトルでも触れましたが、今回記事にさせていただくのはBUMP OF CHICKENさん (以下、BUMP と表します) のこちらのCDに収録されている曲。
ロストマンです。

ロストマン/sailing day

ロストマン/sailing day

【歌詞】――――――――――――――――――――――

状況はどうだい 僕は僕に尋ねる
旅の始まりを 今も思い出せるか

選んできた道のりの 正しさを祈った

いろんな種類の足音 耳にしたよ
沢山のソレが 重なって また離れて

淋しさなら 忘れるさ 繰り返す事だろう
どんなふうに夜を過ごしても 昇る日は同じ

破り損なった 手造りの地図
辿った途中の 現在地
動かないコンパス 片手に乗せて
霞んだ目 凝らしてる

君を失ったこの世界で 僕は何を求め続ける
迷子って 気付いていたって 気付かないフリをした

状況はどうだい 居ない君に尋ねる
僕らの距離を 声は泳ぎきれるかい

忘れたのは温もりさ 少しずつ冷えていった
どんなふうに夜を過ごしたら 思い出せるのかなぁ

強く手を振って 君の背中に
サヨナラを 叫んだよ
そして現在地 夢の設計図
開く時は どんな顔

これが僕の望んだ世界だ そして今も歩き続ける
不器用な旅路の果てに 正しさを祈りながら

時間はあの日から 止まったままなんだ
遠ざかって消えた背中

あぁ ロストマン 気付いたろう
僕らが丁寧に切り取った
その絵の名前は 思い出

強く手を振って あの日の背中に
サヨナラを告げる現在地 動き出すコンパス
さぁ 行こうか ロストマン

破り損なった 手造りの地図
シルシを付ける 現在地
ここが出発点 踏み出す足は
いつだって 始めの一歩

君を忘れたこの世界を 愛せたときは会いに行くよ

間違った旅路の果てに
正しさを祈りながら

再会を祈りながら
――――――――――――――――――――――――――――

かなり長い文章になるため先に結論だけ書いておきます。僕にとってこのロストマンという曲は、藤原さん、もしくはBUMPから離れていくファンに対するメッセージだと考えています。

何故そう考えるのか?の前に
各固有名詞が何を表しているのか?
僕なりの解釈を書いていきます。

まず
『僕』これは作詞者である藤原さん自身、もしくはBUMPのことを指しているのだとおもいます。

次に
『旅』これはBUMP OF CHICKENとしての活動を。

続けてどんどんいきます。
『いろんな種類の足音』これはライブに来てくれたファン、リスナーのことだと思います。

『手造りの地図』これはロストマンを書く前までにBUMPが1から作り上げてきたファンとの関係、そして彼らと共にずっと歩み続ける自分達の理想を。

『コンパス』は自分達がどちらに向かえばいいのかを決めるときに重要な指針です。つまりバンドとしてこれからどこへ向かうべきかの選択を。

『君』とは初期からずっとBUMPのことを応援してくれてたリスナー、ファンの事だと思います。

『夢の設計図』これは新しいBUMPとして歩む理想を。

最後になりましたが、タイトルにもなっている
ロストマン』これは自分達から離れていくリスナー、ファンのことを示していると思います。

ここから考察に入ります。


歌詞の冒頭で
―――――――――――――――――――――
状況はどうだい 僕は僕に尋ねる
旅の始まりを 今も思い出せるか

選んできた道のりの 正しさを祈った
――――――――――――――――――――――
とあります。
これは藤原さん自身がこの曲を作った当時
「今、自分達が置かれている状況はどうなんだ?
バンドを結成した当初の初心をおもいだせるか?
その時、願った通りに自分達は進めているのか?」
という自問自答で
今、自分達が置かれている状況が正しいものであって欲しいという願望だと思います。


そして歌詞は以下のように続きます。
―――――――――――――――――――――――――――
いろんな種類の足音 耳にしたよ
沢山のそれが重なって また離れて

淋しさなら忘れるさ 繰り返すことだろう
どんなふうに夜を過ごしても 昇る日は同じ
――――――――――――――――――――――――――――
となっています。
先にも述べましたが、『いろんな種類の足音』はおそらくライブに来てくれたファンの事だと思います。
僕自身ステージに立ち、人前で音楽を演奏したことがあるからよく分かるのですが、ステージに立つと観客の顔がよく見えます。それはもう小さな箱(ライブハウス)であれば観客すべての顔が見えたりもします。
話が逸れました。元に戻ります。

『沢山のそれが重なって また離れては』いろんな人がライブに来てくれて、その顔がどんどん入れ替わっていくことを指しているのだと推測します。

そして
『淋しさなら忘れるさ 繰り返すことだろう』とは観客も含めていつも同じメンバーでライブをすることはない、だからアーティストとして、音楽家として生きていく上では何度も経験することで、その寂しさもいずれ慣れて薄れていくことを指しているのではないでしょうか?

その後に続く
『どんなふうに夜を過ごしても 昇る日は同じ』とはどこでライブをしたって、ついさっき述べたことは変わらないことを示していると思います。

そしてサビヘ続きます。
―――――――――――――――――――――――――――――
破り損なった 手造りの地図
辿った途中の現在地
動かないコンパス 片手に乗せて
霞んだ目 凝らしてる

君を失ったこの世界で 僕は何を求め続ける
迷子って 気付いていたって 気付かないフリをした
―――――――――――――――――――――――――――――

『破り損なった手造りの地図』とは上でも述べましたが、ロストマンを書くまでに着いてきてくれたファンのことと、思い描き続けてきた理想の事だと思います。そして『破り損なった』は離れていくファンとの関係を断ち切ることを容易に割りきることが出来ないことを指しているのだと思います。

『辿った途中の現在地』はその地図、つまり理想を追った末にある今を表し。

『動かないコンパス 片手に乗せて』は離れていくファンに合わせて曲を作るのか、それとも進化し続けるのかどちらが正解なのか分からない状況を、
そして『霞んだ目 凝らしてる』は考えてもどちらが正解なのか分からない、先が見通せないことを示していると解釈します。

その後に続く
――――――――――――――――――――――――――――
君を失ったこの世界で 僕は何を求め続ける
迷子って 気付いていたって 気付かないフリをした
―――――――――――――――――――――――――――――
とあります。
『君』は前述した通り、初期からBUMPを応援してくれていたファンのことを指していて、この『君を失ったこの世界で』の部分はそんな彼らが自分(藤原さん)もしくは自分達から離れていったとして、この先『僕らは何を求め続ける』何を目標にする?

そんな風に目標を失ってしまいつつある『迷子』である自分に『気付いていたって 気付かないフリをしている』そうやって、実はそういう自分をファンに気づかれないように取り繕っていることをファンに暴露しているのだと思います。


そして曲として次の局面を迎えます。
―――――――――――――――――――――――――――
状況はどうだい 居ない君に尋ねる
僕らの距離を 声は泳ぎきれるか
―――――――――――――――――――――――――――

『状況はどうだい 居ない君に尋ねる』
これは離れていったリスナー、もしくは離れつつあるリスナーに対して「君たちから見て、今の自分は、BUMPはどうなんだ?」と問いつつ、次の
『僕らの距離を 声は泳ぎきれる』は
「この曲なら君たちに届くのか?自分達の関係を繋ぎ止めることができるのか?」を問ているのだと考えます。

そして
――――――――――――――――――――――――――――
忘れたのは温もりさ 少しずつ冷えていった
どんなふうに夜を過ごしたら 思い出せるのかな
――――――――――――――――――――――――――――
と続きます。

この『温もり』とは、昔ライブに来ていたファンと共に作り上げたライブの熱量を表していて、『少しずつ冷えていった』が関係が疎遠になったことを指しているのだと思います。
つまり、そうした熱量や彼ら(過去のファン)を忘れていき、繋がりが希薄になっている状態を表現しているのでしょう。

そしてその後に続く
『どんなふうに夜を過ごしたら 思い出せるのかな』はどんなふうにライブをすればそれを思い出すことが出来るのか?と考えている状況を示していると考えます。


そして2回目のサビが来ます。
――――――――――――――――――――――――――――
強く手を振って 君の背中に
サヨナラを 叫んだよ
そして現在地 夢の設計図
開く時はどんな顔
――――――――――――――――――――――――――――
ここでは
『強く手を振って 君の背中に
サヨナラを叫んだよ』とあります。
『君』とは前述した通り昔からのファンです。
つまり、ここで昔からのファンと決別することを決め、そして今からこの先どこへ向かうのか?何を目標にするのか?ということを『そして現在地 夢の設計図』で表現し、その自分達の未来への展望を決めるとき自分達はどんな『顔(=感情)』になるのかを表しています。



――――――――――――――――――――――――――――
これが僕の望んだ世界だ そして今も歩き続ける
不器用な旅路の果てに 正しさを祈りながら
――――――――――――――――――――――――――――
と続くわけですが、
『僕が望んだ世界』とはファンが離れていくことを許容し、変わり続ける、アーティストとして進化し続けることだと思います。『そして今も(その道を)歩き続ける』

『不器用な旅路』とは自分達の進化(変化)と離れていくファンを繋ぎ止める、その両方を選ぶことができなかったこと示し、そうして自分達が進化した『果て』が正しいことを、選んだ道の『正しさを 祈りながら』アーティストとして次のステップへ踏み出そうとしているわけです。



そして最後のサビ前
―――――――――――――――――――――――――――
時間はあの日から 止まったままなんだ
遠ざかって 消えた背中
あぁロストマン 気付いたろう
僕らが丁寧に切り取った
その絵の名前は思い出
―――――――――――――――――――――――――――

『時間はあの日から 止まったままなんだ』
『遠ざかっていく背中』とあります。
この『止まった時間』は離れていったリスナーと自分達との時間を表し、『遠ざかっていく背中』は自分達が決めた一部のファンと離れる道、変わり続ける道を自分達が進めていることを表現しています。

そして『あぁ ロストマン 気付いたろう』、『僕らが丁寧に切り取った その絵の名前は思い出』
は自分達(BUMP)とロストマン(離れていったリスナー)が共有した時間(これを絵と表現している)は思い出だと言っているわけです。


そして最後のサビヘ
――――――――――――――――――――――――――――
強く手を振って あの日の背中に
サヨナラを 告げる現在地 動き出すコンパス
さぁ 行こうか ロストマン

破り損なった 手造りの地図
シルシを付ける 現在地
ここが出発点 踏み出す足は
いつだって 始めの一歩
―――――――――――――――――――――――――――――

前半部で離れていくファンと本当の意味での別れを済ませ、『動き出すコンパス』より明確な指針(コンパスはどの方向を向いても赤が北を示します。つまり、)絶対に曲げない目標を決めたということを指し示しています。
『さぁ 行こうか ロストマン』の部分の解釈は凄く難しかったのですが、おそらくそれぞれの信じる方向へ行こうと言う意味だと思います。

そして後半部、
『破り損なった 手造りの地図』
シルシを付ける 現在地』
『ここが出発点 踏み出す足は』
『いつだって始めの一歩』
はずっと思い悩んでいたことが解決し、ここが自分達のターニングポイント(BUMPが進化するうえで大きな転換点)となったこと、そして次のステージへ進んでいくことを表しています。

そして最後に
―――――――――――――――――――――――――――
君を忘れたこの世界で 愛せた時は会いに行くよ
間違った旅路の果てに
正しさを祈りながら


再会を祈りながら
―――――――――――――――――――――――――――――
となり曲は終わります。

最後の部分は、もう君が自分達(BUMP)のライブに来てくれることはないだろうけれど、もっと有名になり、バンドとして自分達が力をつけ離れていった君たちがまたライブに来たいと思えるようになって見せるよ。

今君たちを切り捨てたこの道の果てがそうなることを、この選択が正しかったことを祈りながら、もう一度会えることを祈りながら…

以上のことからこの曲は藤原さんからの、BUMPからのリスナーに対するメッセージだと僕は捉えました。


ロストマンに対する解説はここまでです。

『あとがき』
この曲は作詞に膨大な時間がかかったと聞きました。
自分はBUMPには3つのターニングポイントがあり、初めがジュピター発売からユグドラシル発売前後までの期間だと思っています。
初めてそれを迎えたが故に藤原さん自身も作詞に苦戦したのでは?と考えたりもします。(憶測にすぎませんが)

最後に伝えておきたいことがひとつあります。
善悪が観測者の視点によって容易に立ち位置を変えるように、曲を受けてどのように解釈するか、それをどんなふうに受け止めるかは受け手によって異なるのが当然だと思います。
そこに正解はないと僕は信じています。
なので、既にこのロストマンという曲に対して自分なりの解釈を持っている人にはそれを大切にして欲しいと思います。
前書きにも書きましたが、この記事がこの曲の解釈に難儀している人の助けになれたなら幸いです。
ここまで長々とお付き合いありがとうございました。
また、時間が取れれば他の曲の解釈も書く予定なので、皆さんの時間に余裕があれば見に来ていただけたらな。と思います。
本当に読んでいただきありがとうございました。

―kiNo―